1. 認知症ってどんな病気?
認知症とは、何らかの脳の病気や障害が原因で、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障が出ている状態です。単なる物忘れとは異なり、脳の神経細胞が死んだり、働きが悪くなったりすることによって、起こる脳の病気です。世界で約5,700万人(2021年推定)が罹患しており、年間約1,000万件が新規発症するという、家族・社会への影響が大きい病気です。典型的な症状としては、記銘力低下、計画・遂行の困難、言語・視空間・見当識の障害、性格・行動の変化などがあります。
*記銘力とは
記銘力とは、新しい情報を記憶に取り込む能力のことです。情報を脳に取り込める形式に変換し、記憶としてインプットする段階で、この能力が低下すると、新しいことを覚えられなくなります。
*見当識とは
自分の名前や年齢、立場、自分と周囲との関係、日常生活における日付や時間、曜日、自宅の場所、距離、道順などを把握する能力が失われます。
可逆的な「認知症様」状態との鑑別も必要です。例えば、甲状腺機能低下、薬剤性、うつ、睡眠時無呼吸症候群、脳炎を引き起こす感染症など、意識に変化を来たす疾患です。
2. 認知症の種類
認知症は大きく4つに分類されます。
①アルツハイマー型
②脳血管性
③レビー小体型
④前頭側頭葉変性
認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型です。
3. 病院に相談する目安
どんな症状が出たら相談したらよいのでしょうか?もし下記に上げるような症状に自分自身で、家族が、または友人が気付いた時には、些細なことだからと躊躇せずに、気軽にご相談ください。特に症状の慢性化と日常生活の支障は重要です。
この他にも、悪態をつく、家人を理不尽に責める、物を盗られたなど妄想にこだわる、何度も同じことを要求する、同じ商品を何度も買う、いつも不安げで落ち着かない、があります。
🍀受診前に準備しておくとよいこと
4. 当院での取り組み
【初診】
1. 生活歴・服薬・既往・BPSD聴取します。家族が同席出来ればより良いでしょう。
*BPSDとは
認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の略称です。
≪過活動状態のBPSD≫
興奮・不穏・幻覚・妄想・物盗られ妄想・大声・性的逸脱行為・脱衣・焦燥・易怒性・攻撃性・帰宅要求・過干渉・らん集(収集)・ろう便(放便)・暴力・自殺念慮・昼夜逆転・徘徊・まとわりつき・異食・過食・夕暮れ症候群・常同行為
≪非活動状態のBPSD≫
うつ状態・喪失感・不眠・意欲低下・拒食・摂食障害
2. スクリーニングテストを行います。当院では以下のテストを行っています。
*対面式で行うHDS-R (10~15分)/ MMSE-J (10~15分)/ MoCA-J(MCI検出に有用)
*HDS-Rとは
一般の高齢者の中から認知症の高齢者をスクリーニングすることを目的に用いられる簡易的な認知機能テストです。
30点満点で構成されていて、20点以下だと認知症の疑いが高いと判定されます。参考数値として、認知症でない人の平均は24点前後、軽度の認知症の人の平均は19点前後、中等度の認知症の人の平均は15点前後、重度の認知症の人の平均は10点前後とされています。記憶に関係した評価項目を中心に構成されているため、初期段階では記憶障害が現れにくいレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症に関しては、あまり感度のよい検査結果が出ないといわれています。
*MMSE-Jとは
MMSEは、時間の見当識、場所の見当識、即時想起(記銘)、注意と計算能力、遅延再生(短期記憶)、物品呼称、読字・復唱、言語理解、文章構成、図形的能力(空間認知)など、7つの認知機能を評価する11項目で構成されています。
採点方法 各項目は1問1点または複数点(例:時間の見当識は5点、場所の見当識は5点)で採点され、満点は30点です。質問には10秒程度の制限時間が設けられています。
カットオフ値 27点以下で軽度認知障害(MCI)の疑い、23点以下で認知症の疑いがあると判断されることが多いです。ただし、MMSEはあくまでスクリーニング検査であり、これだけで認知症の診断を確定するものではありません。
*MoCA-Jとは
MoCAまたはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識からなり、MCIをスクリーニングする検査です。
MoCAは25点以下がMCIであり、感度80-100%、特異度50-87%です。。MoCAはMMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができると言われています。
*または、iPadを使ったミレボ(3分)を施行
*ミレボとは
ミレボは、アイトラッキング(視線計測)技術を用いた、認知症の診療支援のための神経心理検査用プログラムです。
このプログラムは、タブレット端末にインストールされたアプリとして提供され、約3分という短時間で検査が完了します。画面に表示される質問に対して、被験者が正解の箇所を見つめることで、視線データが自動的にスコア化されます。これにより、検査者の知識や経験に依存せず、定量的かつ客観的に認知機能を評価することが可能になります。
ミレボは、大阪大学発の医療ベンチャーであるアイ・ブレインサイエンスが開発し、大塚製薬が販売しています。2023年10月に日本で初めて認知症の診療支援に用いる神経心理検査用プログラムとして承認され、2025年1月1日からは認知症領域のSaMD(Software as a Medical Device)として初めて保険適用されています。
3. 認知症に似た症状が出る疾患を除外するために血液検査と服薬チェックを行います。
当院で行える検査を以下にまとめました。
|
代謝 |
甲状腺ホルモン(TSH、FT3、FT4) ビタミンB12 ナトリウム、カリウム、クロール |
3400円 1360円 330円 |
|
感染症 |
梅毒(TPHA定性) |
320円 |
|
生活習慣病 |
糖尿病(血糖値、HbA1c) 高脂血症(T.Cho、HDL、LDL、TG) |
600円 630円 |
|
バイオマーカー |
アミロイドβ |
円 |
