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更年期障害のお話


男性の更年期障害について


【男性の更年期障害とは】

加齢による男性ホルモン(テストステロン)の低下によってさまざまな症状が出現する病態をLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼んでいます。これがいわゆる男性の更年期障害です。

女性は50歳前後から女性ホルモンが急速に低下し更年期障害が起こることは有名ですが、男性も男性ホルモンの低下によってさまざまな症状が現れることが知られるようになってきました。LOH症候群と診断される患者さんは5060歳代の方が最も多いですが、早いと40歳代で診断される方もいらっしゃいます。もしかしたら男性更年期障害かも、と思われる方は、一度検査をしてみると良いでしょう。

 

~まとめ~

  • 正式名称:加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)
  • 主な原因:男性ホルモン(テストステロン)の低下
  • 発症時期:40代後半~60代が多い



【男性ホルモンの作用】

男性ホルモンには生殖機能を維持する以外に多くの生理的な機能があります。

脳への作用(認知・気分)

  • 根拠:意欲・集中力・空間認知・抗うつ作用
  • 参考文献:1Zarrouf FA et al., “Testosterone and Depression”,J Psychiatr     Pract. 2009  2Cherrier MM et al., Am J Psychiatry, 2001(記憶・認知機能への影響)

 

骨の健康維持

  • 根拠:骨密度の維持、骨吸収の抑制
  • 参考:3Fink HA et al., J Clin Endocrinol Metab, 2006  4Khosla S et al., Nature Rev Endocrinol, 2020


筋肉系への作用

  • 根拠:筋たんぱく合成促進→筋肉量・筋力の維持
  • 参考:5Bhasin S et al., “Testosterone dose-response relationships”, NEJM, 2001  6Tenover JL, J Clin Endocrinol Metab, 1992

 

脂質・糖代謝への作用

  • 根拠:内臓脂肪の抑制、インスリン感受性の維持
  • 参考:7Grossmann M, Lancet Diabetes Endocrinol, 2014  8Saad F et al., Diabetes Care, 2011

 

心血管系への作用

  • 根拠:血管内皮機能の維持・動脈硬化予防の可能性
  • 参考:9  CJ et al., Heart, 2010(低Tと心血管疾患の関連)  10Corona G et al., J Sex Med, 2011(低TCVDリスク)

 

造血系への作用

  • 根拠:赤血球の産生刺激→ヘモグロビンの増加
  • 参考:11Bachman E et al., J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 2010  12WHOTRTと多血症の注意喚起(ガイドライン)

 

✅性機能への作用

  • 根拠:性欲・勃起機能の維持
  • 参考:13Khera M et al., J Urol, 2011  14Buvat J et al., J Clin Endocrinol Metab, 2010



【更年期の様々な症状】

更年期の症状は個人差が大きいです。下記のような障害や疾患が現れることがあります。

*精神・神経系の症状

抑うつ感、判断力・集中力の低下 、不眠、不安感 など

 

*身体症状    

全身倦怠感、筋力低下、発汗、ほてり

 

*性機能障害

勃起不全、性欲減退

 

*その他の症状         

骨密度の低下、脂質代謝異常、睡眠障害


【男性更年期障害の判定の仕方】

 •問診票(AMSスコアなど) 症状の重症度を評価します。

  血液検査

   総テストステロン、遊離テストステロンの測定

*総テストステロン:30歳以降、年に約1%ずつ低下 

*遊離テストステロン:より急激に低下

   午前中の採血が推奨されます(テストステロンは日内変動あり)


指標

参考値(AM採血)

LOH症候群

総テストステロン

3.08.0ng/ml

2.5ng/ml未満

遊離テストステロン

8.5pg/ml未満で症状が出ることが多い

総テストステロン2.5ng/ml以上で、7.5pg/ml未満

※各測定値にかかわらず総合的に判断することが重要で、テストステロン補充の妥当性を考慮し、「妥当性あり」と判断すれば、LOH症候群と診断する

理由) 診断基準の“測定値にかかわらず総合的に判断する”という理由は、アンドロゲン受容体の活性効率に影響するN末端のCAGリピートがアジア人は長く、活性効率が低い可能性がある。そのため、テストステロン値が基準値以上でも補充療法が有効の可能性があるため。

⚠️注意点

血中テストステロン分泌は午前9時頃にピークを迎え夜にかけて低下するため、午前711時の間に空腹で採血すること。